2026.05.15

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金商法編

「これはチャンス」は危険信号!? ~「バスケット条項」との向き合い方~

はじめに


最近、役職員が自社株式を売買する機会が増える一方で、インサイダー取引規制に抵触するか否かという微妙な判断を、本人の感覚に委ねてしまっていないでしょうか。インサイダー取引規制、とりわけ「バスケット条項」は、明確な線引きがなく、判断する側の感覚そのものが問われる規定です。

今回の勘所


「これはチャンスかもしれない」と感じる情報がある場合、その時点で自社株式を売買することはできない、と考えておくようにしましょう。

実務での考え方


インサイダー取引規制の「重要事実」には、いわゆる「バスケット条項」が設けられています。バスケット条項に該当するか否かの判断は容易ではありませんが、通常の投資者が当該事実を知った場合に当然に「売り」又は「買い」の判断を行うか否か、言い換えれば、「通常の投資者なら売買判断を変えるか」否かで判断します。

「もしかしたら株価に影響するかもしれない」と感じた時点で、通常の投資者の売買判断に影響を与える情報であると評価される可能性が高いと言えます。その場合、後からなぜその時点で売買してよいと判断したのかを第三者に説明することは極めて困難です。

なお、過去にバスケット条項が適用された個別事例については、証券取引等監視委員会が毎年公表している「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編」に 適用判断の要素とともに整理されており、実務上参考になります(令和 6 年度版については 71 頁以下)。

まとめ


バスケット条項は抽象的で、判断に迷いが生じやすい規定です。しかし、その迷いが生じた時点で危険信号です。「これはチャンス」と感じた情報は売買機会ではありません。慎重さが求められるサインです。その意識こそが、結果として会社や役職員を守ることになります。