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競争法編
価格転嫁の協議、申出待ちになっていませんか?
近年、公取委による取適法の執行が如実に強化されています。
従前は、社名公表を伴う勧告事例の多くは、下請代金の不当な減額に関するものであり、実務的には、不当な代金減額の防止が最重要視されてきました。しかし、昨今では、買いたたきによる勧告事例が増えてきています。
買いたたきは、取適法違反の代表例とされる代金減額や支払遅延よりも、実は違反の未然防止が難しい側面があり、定期的かつ継続的な対応が必要です。
価格転嫁への対応は、受託事業者からの申出があった場合にだけ検討すれば足りるものではありません。
特に価格転嫁の必要性が叫ばれ、当局がその実現に向けた取組みを強化している状況下で、委託事業者には中小受託事業者との適時・適切な協議が求められています。その対応が不十分な場合、買いたたきと判断されるリスクが生じます。
代金減額や支払遅延は、発注額と支払額を一致させる、所定の期間内に代金を支払うといった社内システムを整備することで、違反リスクを相当程度抑えることができます。
これに対し、買いたたきへの対応では、取引を取り巻く状況の変化を継続的に把握し、個々の事情に応じて価格見直しの要否を検討する必要があります。
例えば、次のような場合には、従前の取引価格が現在の取引条件に見合っているか、改めて確認することが重要です。
原材料費や人件費等が高騰している場合
量産終了に伴い、補給品取引へ切り替わる場合
その他、取引条件やコスト構造に変化が生じた場合
こうした事情が認められるときは、相手方からの申出を待つのではなく、委託事業者側から協議の機会を設け、価格の見直しについて真摯に検討することが求められます。
実務上は、次のような運用を社内に定着させることが有効です。
取引価格の見直しが必要となる事情を定期的に確認する
必要に応じて中小受託事業者との協議を実施する
協議や検討の経緯を記録する
これらの運用が実行されているか、継続的に確認する
(参考)公取委―労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針
買いたたき規制に関するコンプライアンスは、一朝一夕でできるものではありません。価格見直しの必要性を継続的に確認し、必要に応じて中小受託事業者と協議する運用を確立することが重要です。
委託事業者には、積極的に協議の機会を設けることが求められています。くれぐれも中小受託事業者から申出があった場合に対応すれば足りるとの誤解が担当者に生じないように注意する必要があります。