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競争法編
グループ会社の競争法コンプライアンス、親会社として点検できていますか?
「独禁法違反を犯したのは子会社だから、親会社である我々は直接の当事者ではない」──これまでそう考えてきた経営・法務担当者は多いかもしれません。確かに、グループ会社が違反事件の当事者になった場合でも、これまでは親会社への直接の法的影響は限定的でした。
しかし、近年の公正取引委員会(公取委)の動向は、明らかにその方向性を変えています。今回は、親会社が「対岸の火事」でいられなくなりつつある最新の実務動向をお伝えします。
グループ会社が独占禁止法や取適法(下請法)の違反事件の当事者となった場合、「グループ会社の問題」と安易に考えるのは危険です。親会社として、速やかに事実関係の報告を求めるとともに、自社のグループ会社への指導内容に問題がなかったかを早急に確認することが求められます。
公取委は最近、独禁法・下請法の違反事件の処理に際して、違反事業者に措置を講じるだけでなく、その親会社に対しても直接「申入れ」や「要請」を行い、これを公表するケースが増えています。
実際の公表文には、次のような記載があります。
「XX(親会社)は、子会社であるYYの行為が法令に適合することを確保するための体制を整備すべき立場にあることを踏まえ、グループ会社で下請法の親事業者に該当し得る事業者が下請法を遵守するための実効性のある取組を実施するよう申し入れた。」
「ZZ(親会社)が作成したマニュアルが違反行為が発生した重大な原因の1つであると認められることから、今後ZZグループにおいて下請法の規定に抵触する行為が再発することないよう、当該マニュアルの見直しを含めた改善措置を講じることを申し入れた。」
つまり、親会社が作成したマニュアルや指導の枠組みそのものが「違反の原因」として公取委から名指しされる時代になっています。
前述の問題を回避するために有効で、かつ、比較的採用しやすい方策としては、例えば、グループで統一のコンプライアンスマニュアル・行動指針を策定する、グループの法務・コンプライアンス担当者間の定期的な勉強会・意見交換会を開催する、グループ会社間の(厳しい)取引条件によりグループ外の第三者との取引条件に不当な皺寄せが生じていないかをモニタリングするといったことが考えられます。
公取委は2025年6月、独占禁止法コンプライアンスプログラムの実態調査報告書(27頁以下)で「競争法コンプライアンスプログラムをグループ単位で一体的に整備・運用することが必要」と明言しています。
子会社に任せきりにするのではなく、親会社として「グループ全体のコンプライアンス体制を整備できているか」「グループ会社に不適切な指導を行っていないか」を定期的に点検することが、今まさに求められています。