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人事労務編
その内部通報、“形だけ”になっていませんか?
内部通報制度は、企業実務において広く定着しています。「通報窓口は設置しているし、マニュアルどおりに動いている」と考えられていることも多いです。しかし、本当にそのように考えてよいのでしょうか。
個別の内部通報事案に関しては、「社内調査結果がもし世の中にでたときに、当社は『公平・中立』に判断したと言い切れるか?」という視点から対応することが重要です。自社の内部通報制度において形式的な対応が蔓延していないか、改めて確認しましょう。
近時、内部通報後に行われた社内処分等が違法であるとして、会社が通報者に対して慰謝料等の賠償が命じられる判決が下されています。関連案件の報道等をみると、内部通報から僅か5日後に、調査結果として通報事実はなかったとの回答がなされていたようです。
企業実務においては、内部通報者に対して懲戒処分を課さざるを得ない場面も少なくありません。しかし、近時の公益通報者保護法改正により、内部通報者に対して懲戒処分を行うハードルは一段と高くなってきています。また、前述のとおり、調査の不備に起因して賠償責任を負うことになり、広く報道される懸念も高まっています。
そのため、企業実務では、内部通報があったときには、形式的な調査ではなく、実質的な調査を行うとともに、作成した報告書の内容について、「もし世の中にでたときに、我が社は『公平・中立』に判断したと言い切れるか?」という視点から検討することが重要です。
前述の問題を回避するために有効で、かつ、比較的採用しやすい方策としては、例えば、グループで統一のコンプライアンスマニュアル・行動指針を策定する、グループの法務・コンプライアンス担当者間の定期的な勉強会・意見交換会を開催する、グループ会社間の(厳しい)取引条件によりグループ外の第三者との取引条件に不当な皺寄せが生じていないかをモニタリングするといったことが考えられます。
内部通報窓口は、単なる従業員の意見を聞く目安箱ではなく、経営が「その襟を正す」装置として機能させなければ意味がありません。上記のような実質的な調査を経た報告書の作成を意識することで、企業の対外的な価値を守ることにつながります。
Author
執筆弁護士