競争法は規制内容が複雑・難解ですが、企業の国内外における事業活動に重大な影響を及ぼすものであり、企業にとっては避けて通れない分野でもあります。当事務所は、実務に即した助言を強みとしており、公正取引委員会での勤務経験も有する執行パートナー弁護士・川島佑介と、元公正取引委員会委員であるエキスパートアドバイザー 山本和史が競争法対応について対談しました。

競争法分野におけるY&Pの強み

川島:当事務所では、独占禁止法を中心に、取引適正化法(下請法)やフリーランス法、景品表示法など、競争法全般にわたる案件を幅広く扱っています。特に独禁法の分野では、国内外のカルテル事案や企業結合審査を多数手がけてきました。その中には、前例のない問題解消措置で企業結合審査をクリアした事案や、日本における確約手続の先駆けとなった事案もあります。
また、当局対応では、公正取引委員会で45年にも及ぶ実務経験を持つ山本和史アドバイザーと連携し、実務に即した視点で助言を行っています。単なる法解釈に留まることなく、「実際に当局がいかに考えるか」を踏まえたアドバイスを提供できる点が当事務所の大きな強みです。

山本:当事務所のクライアントは、グローバルに事業を展開しています。例えば「新しいマーケティング施策を日本で実施したいが、独禁法上のリスクは?」という相談の際に、「同じ施策を欧米・中国でも展開したいが、各国の競争法の考え方はどう違うか?」といった相談が数多く寄せられています。私は、長年の行政経験をもとに、日本だけでなく米国・EU・中国など海外当局の運用事例を踏まえて、当局が判断するに当たって重視するであろうポイントを助言しています。こうした比較法的な視点が、当事務所の競争法業務に厚みをもたらしていると感じます。

案件に臨む際に大切にしていること

川島:競争法案件では、まず具体的な事実関係を正確に把握することが何より重要です。そのうえで、法令やガイドラインを検討するだけでなく、クライアントが企図する目的を踏まえ、リスクを最小化しながら実現可能な解決策を見出すことを重視しています。
例えば「ガイドライン上では問題となる可能性がある」行為とわかっても、それで終わりではありません。市場環境を丁寧に分析すれば、リスクを抑えつつ目的を達成する別の道筋が見えてくることがあります。私たちの使命は、そうした「現実的で前向きな選択肢」を経営者に提示することです。

山本:競争法対応では、単に「問題があります」と指摘するだけでは不十分です。それは出発点に過ぎません。クライアントと議論を重ねながら、どのような形であれば実行可能で、リスクを最小化することができるのか——そこにこそ専門家としての真価が問われます。

「難解」と言われる競争法の本質とは

川島:特に有事対応、たとえば国際カルテル案件は、時間的制約の中で非常に難しい意思決定を迫られる分野です。リニエンシー申請の可否及び範囲、複数の国における当局への対応、情報管理、個人情報保護、潜在的な損害賠償への備え、経営責任の問題など、一つの事案に様々な問題が絡みます。当事務所は、こうした難解な問題を含む案件を数多く解決することで、総合的な対応力を培ってきました。

山本:独禁法の基本は「市場の自由で公正な競争を守ること」です。しかし、同じ行為でも、市場構造や当事者の立場によって評価が大きく変わるのがこの分野の難しさです。例えば、新規参入企業が取引先に自社製品だけの取扱いを求めることは、市場活性化につながる場合があります。一方、市場支配的な企業が同じ行為をすれば、競争制限的と判断されるでしょう。
また、グローバル化が進む現代では、海外製品の参入が進むことで、以前であれば「競争制限的」とされたであろう企業結合が問題とならないケースもあります。
「変わる実態、変わらぬ法理」——これが競争法の本質です。私たちは、クライアントとともに、検討の対象となる「実態」を丁寧に描きながら、最適な判断を導くことを大切にしています。

今後の展望 ― 変化する社会とともに

川島:競争法は、企業の事業活動に直結する分野です。だからこそ、法令の理解だけでなく、社会経済の動向を見据え、クライアントのビジネスを深く理解することが欠かせません。私たちは、経営者がリスクを正しく把握しながら、迷わず最適な事業判断を行えるよう、これからも伴走していきます。

山本:経済や社会は常に変化しています。AIの発展もその一例です。例えば、米国では、不動産やホテルの業界で競争業者が「同一の価格設定アルゴリズムを利用すること」が新しい形のカルテル問題として争われています。このように、競争法の世界では、社会経済の変化に伴い絶えず新しい論点が生まれます。私たちは、常に最新の動きを追い、クライアントに的確な情報を届けることで、信頼されるパートナーであり続けたいと考えています。

川島:当事務所の競争法チームは、深い実務知識と柔軟な発想を武器に、企業の挑戦に寄り添い続けます。企業が健全に前進するための競争法実務を実現する——それが私たちの目指すところです。