対談:「経営者の視点で動く」──当事務所の危機管理の本質

危機管理・事業再生の現場で問われるのは、単なる法的処理ではなく、「企業として生き残るための選択」です。本対談では、代表パートナー弁護士・柳田一宏と、危機管理及び事業再生の双方を取り扱ってきたパートナー弁護士・奥田洋平が、いかに「経営者の目線」に立ち、スピードと判断力を持って「信頼の再構築」まで伴走するのか、豊富な国際経験にも裏打ちされた当事務所の強みに迫ります。

経営者目線の危機管理

奥田:危機管理・事業再生分野における当事務所の特徴は、どのようなものだと考えていますか。

柳田:一言で言えば、「経営者の目線で考える」ということに尽きます。危機管理の現場では、単なる法的処理ではなく、「企業として生き残るための選択」をどう実行するかが問われます。我々は、単なるリーガルアドバイザーではなく、経営の伴走者として最善の打ち手を共に描き、実行まで責任を持つ──そこが他事務所との決定的な違いだと考えています。

奥田:実際に、初動から経営陣と一体になって危機対応の方針を決めていくのが印象的です。調査委員会を設置して調査をすれば「形式的には」対応したことになりますが、当事務所ではそれだけでは終わりません。従業員、取引先、株主、そして社会の目──複眼的に全体を見渡しながら、最も持続可能な解決策を探ります。

柳田:取引先との紛争やアクティビスト対応、代表訴訟など、危機管理に付随して生じ得る問題を広く取り扱っているからこそ、危機管理の現場だけに留まった近視眼的な検討ではなく、大局的、俯瞰的な検討も合わせて行うことができる。だからこそ、「経営者の目線で考える」ことができる。これが当事務所の特徴、強みだと思います。

危機管理におけるスピードと判断力:信頼の再構築に向けて

奥田:「危機管理」というと、調査や公表など“手続的な対応”が注目されがちです。

柳田:はい。しかし、危機対応は「調査して終わり」ではありません。不祥事の対応で大切なのは、ダメージコントロールと、膿を出す抜本的な改革の両立です。そのためには、スピードと判断力が何よりも重要です。私自身、米国企業でターンアラウンドマネージャー(事業再生請負人)として勤務していた経験があります。現場では、急激に崩壊していく事業体の再生を図るために、あれこれ慎重に考えて決定する時間的余裕はありません。常に考えながら動く、実行しながら最適解を見つけていくという世界。そのスピード感と実行力を、いまの危機対応業務にも活かしています。

奥田:このようなスピードを持った判断を行うためには、「何を守るか」を最初に明確にすることが重要になります。

柳田:ブランドなのか、雇用なのか、企業価値なのか──守るべきものを経営者とすり合わせた上で、最短距離の解決策を描きます。外部への説明や開示も、“誠実さ”を軸に、経営者の視点から、クライアントの将来を見据えたかたちで戦略的に行います。危機対応のゴールは「信頼の再構築」です。危機をどう乗り越えたか、その姿勢こそが企業の評価を決めます。だからこそ、我々は“事件のその先”まで見据えた助言を行うようにしています。

事業再生と危機管理:国際案件における強み

奥田:このような経営者視点は、事業再生の分野でも活きています。

柳田:そうですね。私はこれまで、数多くの民事再生案件で債務者側代理人として関与してきました。現場で感じたのは、「法的な再生スキーム」はあくまで手段に過ぎないということです。本当に大切なのは、事業の再生──つまり、“人と組織を立て直す力”です。その経験をもとに、現在はスポンサー企業として救済型M&Aを行う側へのアドバイスや、再生債務者からの債権回収に関する支援も行っています。

奥田:国内案件だけでなく、国際案件にも強いのが当事務所の特長ですね。

柳田:海外子会社のチャプター11申請を支援したり、外国企業の倒産に巻き込まれた日本企業への対応を行うなど、国際的な再生案件にも深く関わっています。海外子会社のチャプター11の過程で、米国連邦裁判所における調停期日に出頭したこともあります。危機管理でも、例えば、米国司法省(DOJ)が主導していた証拠隠滅案件において、調査に立ち会った経験もあり、実際に現地でのFBI同席のヒアリングにも弁護人として同席しました。こうした実務経験を踏まえて、国内外を問わず「現場で動ける危機対応」を実現しています。

おわりに-伴走者としての法律事務所

奥田:危機管理と事業再生の場面で法律事務所のサポートを必要とするクライアントは、単にリーガルアドバイスを必要としている、というものではありません。

柳田:危機管理も事業再生も、最終的には「企業の再生」ではなく「人の再生」に関わる仕事です。経営者がもう一度前を向けるように、組織がもう一度信頼を取り戻せるように──我々はそのための“伴走者”でありたいと思っています。どんなに厳しい局面でも、立ち上がる力を信じて、ともに再生の道を描く。それが、当事務所の危機管理・事業再生における使命です。